ずっと繰り返す、ずっと止まらない 関ジャニ∞安田さん "Black of night" の世界

安田さんが総合プロデュースした大好きな曲、"Black of night"が今夜の関ジャムで取り上げられることになりました。

関ジャム 完全燃SHOW|テレビ朝日

 

種明かしの興奮と不安の中「一ファンとして素直に聞いた時の気持ちを残したい」と思い、記事にしました。歌詞・MV・メイキング・演出・雑誌記事すべてがつながって迷い込んでいく "Black of night" の世界。

9500字近い超長文ですが、よろしければお付き合いください。

*安田さんの言葉をそのまま伝えるため、引用を多くしております。 

 

1)テーマ:誰にとっても "共通"  間違いを繰り返しながら "もがき生きる" こと

「Black~は正しいと思ってやってきたことが間違っていたりとか、誰もが同じような間違いを繰り返しながら進んでいく。恋愛でも仕事でも友人関係でもそういうところで立ち止まる…そういうことを歌った歌やねんな。誰にとっても永遠のテーマだと思うので"共通"。」

 雑誌記事で安田さんが率直な言葉で語ってくれているテーマ。

この難しいテーマを、本当に上手に表現していると思うんです。この曲には明確なターゲットや対象となる客層はなくて、あらゆる人の不安やもがく様を抽出してくれている。

中でも特徴的だと思うのは、全体が「事象の抽出=描き出し」で終わっていること。

いつからかこの世界迷い込んだ 僕たちは

永遠に出られない 暗闇のラビリンス

歌詞の最後、これ。 〜完〜

「みんな不安だよね。だから手を取り合って頑張っていこう!」とか「いつか光が見えるから大丈夫!」みたいな投げっぱなしの鼓舞がない。

あくまでも "Black of night" = "夜の闇" について歌っているだけ。輝く朝の話ゼロ。

 

それが押し付けがましくなく、逆にやさしくてリアルで、とても好きです。

 

『Black of night』も2年半前の夏に作った曲やけど、作ったときは、そのときの関ジャニ∞に足りないと感じたものを形にした。(略) そういう意味で『Black of night』は"まだやっていないこと"であり、今の関ジャニ∞に足りないところを担う楽曲であると捉えているんだよね。ザテレビジョンCOLORS vol.27 RED&WHITE

 30歳前後、いろんな経験をしていろんな人を見てきた安田さんだからこそ描ける曲なんだろうなぁと。 

そんなテーマが随所に散りばめられているBlack of nightを、私なりに少しずつ一緒に考えていきたいと思います。

 

2)歌詞:自分に当てはめると じんわり引き裂いてくることばたち

いいバランスの鉄板と違和感

先々週のジャムでtofubeatsさんが贈ったコメント「今までにあまりなかった、いろんな形の恋が当てはまるような、誰もが共感できる歌詞が素晴らしい。イイ歌詞は、誰もがイメージしやすい”名詞”が出てくる。」

Black of nightでもそれに似た効果を出すために、あえて曖昧で形のない"ことば"を選んでいるように思います。10人が聞いた時に10人とも頭の中で違うものをイメージしているのに、でも感情は「苦しい」「不安」へと引き寄せられてしまう感じ。

 

例えば、

「追いかけても 叫んでも 振り向かない」

「今にもこぼれ落ちそうで」「はかなく消えてしまいそうで」

誰が?の主語も、相手の形容もない。どこから?も具体的には書いてない。

でも誰がどの立場から聞いても、自分に当てはまるところが見つかる。

 

こんな経験にも当てはまるかも。

いつしか言葉以外にぶつかることでしか気持ちを伝えられなくなった恋人同士の話

当初探し求めたものが得られずに、言われたまま同じ日々を繰り返す仕事人の話

自分はなにか、あの子とどう違うのか、どうしたらいいのか、自分を模索する私の話

 

想像して、噛み砕いているうちに、気がついたらどっぷりと感情移入してしまっている。

自分に照らし合わせられるからこそ、安田さんがどういう気持ちで書いたのか、何を表しているのか、想像したくなるしもっと読み込みたくなる。不思議な魅力に溢れた歌詞です。

だからこんなに多くのファンがBlack of nightの解釈や感想をアップしているんですよね、きっと。正解不正解じゃなくて、どんな考察も解釈も「それでいいんだよ」と巻き取ってくれる、懐の深い歌詞だと思います。

(MARUも同様に自分に当てはめて聞きましたが、その感想は6の解釈で。)

 

そんな歌詞の中でも、私は安田さんが使う"耳慣れないけど何が言いたいかスッと入ってくる、やさしい違和感のあることば"が大好きです。

安田さんは自分の考えを伝える時、日本語表現をとても大切にしていると普段のインタビュー、トークからも感じます。 ↓ の「ヒリヒリした感情」とか。

息を吸う音が生々しく入ったブレス音などを入れていくことで、ヒリヒリとした感情を抱かせられると思うのね。(ザテレビジョンCOLORS vol.27 RED&WHITE

自分が考えてることを、出来る限りちゃんと自分のことばで伝えたいタイプなのかな、と想像します。

 

Black of nightの歌詞の中では、そういう"違和感ある安田さんワード"と"パッとわかりやすい鉄板ワード"がバランスよく混在している気がしていて。

特に安田さんらしいなと思うのは、この2行。

「溺れていく 海深く 引き戻せない」

「ただひとり 立ち止まると あなたに 溶けてしまう」

他の分かりやすいもの「悪魔」「少女」「とりつかれてけがれた花」などのワードに比べると、意味を思い浮かべるのにちょっと時間が必要です。

全体の中でほんの少ししかないんだけど、イメージを自分の中で作り上げるのに"数秒"かかるこの要素があるからこそ、さらに歌詞に深みが感じられますよね。

 

あえての振り分け 漢字&ひらがな、際立つカタカナ

日本語の記載を変えてるのもおもしろいです。

まず漢字とひらがな。テーマ「誰にとっても"共通"」だという表現がここにも出ている気がします。

「かなたへ」「もがく姿は」「こぼれ落ちそうで」「とりつかれてけがれた」

こういう概念的な歌って、漢字をたくさん使った方が難しくてかっこいい雰囲気がありますよね。例えば安田さん作詞のDye D?だとこう。

「嗚呼、当夜も想い彷徨って」「狂恋の果てに血迷って」「冒涜し身体汚れて」(Dye D?)

うんかっこいいしソレっぽい。

でもそれをあえてひらがなにしているのは、やっぱり誰もが共感できる想像の余地を残しているのかなと思います。

「けがれた」は、「穢れた(精神的)」なのか「汚れた(物理的)」なのか。

「はかない」は、漢字にすると"亻+夢→人の夢"という強いインパクトが入ってしまうから、それを消しているのかな。とか。

あとはひらがなの方が視覚的なリズム感が出て、音が別々に見えるのでその効果もあるかもしれません。 

 

個人的には「とりつかれてけがれた」のひらがな表記がとても好きです。動けなくなって思考がショートしている感じがする。

 

次、カタカナ。

「カラダ」「トゲ」「ココロ」「ラビリンス」

曲全体でカタカナ表記はこの4つ。

「カラダ」は「ココロ」との対比かな。MVの中でココロの色に色にカラダが染められる演出があるように、これはきっと肝になることばだから、パッと目につくカタカナなんですね。

「ラビリンス」を「迷宮」と表記しなかったところも、"ラビリンス"が必ずしも建設物的な硬いイメージではないからかなと。詳細はダンスの部分で後述しますが、カタカナだと概念的な感じが増して感じられます。

 

気になるのは「トゲ」。韻を踏むのに対応している歌詞は「影」ですが、カタカナじゃなく漢字なんです。ここは言葉の印象を強めるためにわざと変えてる感じ。

固く尖った「トゲ」と溺れるように蝕む「影」。「影」の詞に行き着くまでのことばも漢字だと氵がついた複雑な文字ばかりで、それを影の彡でカッコを閉じて(「」→氵彡)閉塞感が表現されている気がして好きです。

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音楽が伝わって血液になる 水の存在① 歌詞編

また、Black of Nightでは歌詞・曲・MVを通じて"水"が頻繁に登場します。総合プロデュースの中でキーになっているような気がしたので、別枠で掘りさげてみました。

 

"水"はインタビューで安田さんが言った"音"=「自然と体の中に取り込まれて血液となっていってるもの」とつながっているし、"水"が表す両極端な希望と絶望のイメージがBlack of nightのメッセージとよくマッチしてます。

水は生きるために不可欠で、喉が乾いて求めるもの。だけどあふれると溺れて呼吸が止まる、そんな感じ。

 

歌詞での水に関連することば

「喉が乾く」

「消えてしまう」→ "消"の漢字の成り立ちは"水がなくなる"ことから

「こぼれ落ちそうで」→ "溢"れ 漢字の成り立ちは"水が器からあふれる"ことから

「溺れていく 海深く」

「止まない雨の中で泣いてる」

「とりつかれてけがれた」→ "汚"の漢字の成り立ちは"水が曲がる=濁る"ことから

「溶けてしまう」

 

歌詞の各段落ごとに"水"に関わることばが登場して、印象に残ります。これが曲にのって、MVの演出が入ると、途端にダンスの動きが浮かび上がって見える気がしています。

詳細は各章ごとに書きますね。

 

 

3)曲:「聴いてくれる人の全身をかきむしれると思ったんです。」

吐息、水、心音 自然が語りかける生々しさ

テレビジョンcolorsのインタビューが完成されすぎてて、圧巻で、これ以上何も書けないので大事なところを引用して紹介します。

息を吸う音が生々しく入ったブレス音などを入れていくことで、ヒリヒリとした感情を抱かせられると思うのね。あくまでも生々しくあること。そここそが、関ジャニ∞らしさだと思ったから。だから、ブレスの音や水の音や、心音が入ってて。ブレスや水や心音って、人間が生きていく上で自然と耳にして、自然と体の中に取り込まれて血液となっていってるもの。

(略)

そういう音って、普段生活していて、そこまで大きな音で存在してない。意識して聞いてる音じゃなくて、無意識に聞いてる音。それをあえて鼓膜を震動させるくらいの爆音で聴かせることで、聴いてくれる人の全身をかきむしれると思ったんです。この曲を聴いたときに、そんな感情に包まれてほしいと思ったというか(ザテレビジョンCOLORS vol.27 RED&WHITE

安田ワールド全開。その強烈な感性と、音楽に落とし込む技術と、イメージを伝えるために真剣に選んだことば。Black of nightを好きな人がなんで好きなのかが、ここに全部詰まっていると思います。

この曲はね、イヤホンで聴くために作ってる。めっちゃ音の聞こえ方を立体的にしてるんです。音も左右に振ってあるし、いろんな場所から歌声が聞こえるように配置して。

(略)

左右って言っても右と左だけじゃなくて、時計の針の12時のところを真ん中として、そこから1時、2時の位置って、ちょっとずつ音の位置を変えられるんですよ。そこをめっちゃ細かく指定してます。

(略)

絶対に何かが起こるときって、そこに音が存在するでしょ。僕、ふだんから全部の音が楽器に聞こえているから。ほら、今、誰かがそこのドア閉めた音。今、ヒューって風が鳴った。全部楽器やからね。ザテレビジョンCOLORS vol.27 RED&WHITE

「自然な音」「人が作り出す音」なんて種類や境界はなくて、全部が同じ"音"で。それを安田さんのような魔法使いが丁寧に丁寧に重ねると、まるっと音楽になる。

イヤホンから雨の音が聞こえれば頭のてっぺんがゾクゾクとむず痒くなり、吐息と心音が聞こえればドクドクと動機が早まる。生々しい自然音の中に滑り込んでくる繊細なストリングスと7人の声が重なって、"Black of night" という曲になっているんですね。

好きとしか言えない。本当に好きです。

※余談ですが、この記事で興味を持ってくださった方。絶対にジョンカラvol27買ってください。読まないと損します。略してる部分や、それ以外の関ジャニ∞の仕事について語ってるとこもめっちゃいいので。是非。

 

音楽が伝わって血液になる 水の存在② 曲編

曲の音の中にも、水が。水音の聴こえ方によって「僕たち」がどこにいるのか想像すると、水の中で溺れもがいている様子が浮かびます。

 

・曲での水音

-0:18 水槽の空気ポンプのような細かい泡音

1:25- 「永遠に出られない」ザァとバケツから水を流しているような音

1:33- 「海深く 引き戻せない」水槽の空気ポンプのような細かい泡音

1:40- 「雨の中で泣いてる君は」ザァザァ降る雨の音

1:55- 「行き着く先は何もないのか」チョロッと溢れるような水音

3:00- 「Black of night」水槽の空気ポンプのような細かい泡音

3:48- 水槽の空気ポンプのような細かい泡音 

※MARU渾身の聴き取り。一部自信ありませんが…

 

ハァという息遣いを交えながら、水中にはじまり、水中に終わるんですね。冒頭では心落ち着く美しい泡音が、最後は「永遠に出られない」背筋がゾクゾクして怖いような閉塞感を連れてきています。

水音って毎日聴いてるのに、それだけ取り出されるとこんなにも感情を揺さぶるんですね。とても落ち着くのに、一方で、とても怖い。日常でも水の音を聴くと、ふと思い出してしまいそうです。

 

 

4)MV:カラダに浮き出るココロの色彩 渦巻かせる水の動き

白と黒の間に浮かぶ 7 色の感情

真っ暗な背景の中真っ白なシャツで歌う7人と、顔に浮かび上がる色彩が印象的です。

渦巻く、感情?みたいなんをなんかこう…ついてくる衣装で表現をこう、できたらいいなって。うちのスタイリストが言ってた。

なんか赤と紫とオレンジにしてもらって。使う色を。…なんか "欲望の塊" みたいな色を表現できたらなっていう、話をしてね。色は個人的に勝手に決めさせてもらって。

なんか、コンセプトがなんかはま…った。ヒラヒラした方がいいんじゃないかっていう。(NOROSHI 初回限定盤B メイキング

安田さんが赤、紫、オレンジを「"欲望の塊"みたいな色」と表現していたので、きっとMVの中の色彩は感情を表現しているんだろうと。下記、MVの流れに沿って色彩を追ってみたいと思います。

0:07 安田:紫、青、緑 赤と橙が一気に広がる

0:49 村上:紫、青、緑 赤少し

0:50 丸山:緑、青、紫 橙少し

タイトル的に登場する安田さん以外は、寒色=冷静・落ち着いた色が多い。でもほんの少し赤やオレンジが混じっていて、焦りやなにかを求める人間味があるように見えます。

0:51 「ただひとり 立ち止まると かなたへ 消えてしまう」

流れる赤が全面に出てきて、それ以外の色が画面外側に押し流されます。一気に感情が爆発して、サビに入るんですね。

1:15 ※割れた窓 透明だった色彩が赤に

1:33 渋谷:緑、赤 広がるも赤を塗りつぶせない青 ここだけ登場する黒

  「溺れていく 海深く 引き戻せない ココロを蝕む君の影」

 MVの中で唯一すばるさんの顔にだけ浮かび上がる黒。これは歌詞の"影"とかけているのかもしれません。浮かびあがる感情の変化に初めて気がついたように、不安な表情でじっと立ち尽くし、手を見つめるすばるさん。

2:09 「ただひとり 立ち止まると あなたに 溶けてしまう」

ここで画面がバグる。あなたに溶ける=自分が壊れる。

6)で話す、私の解釈に深く関わるシーンです。

2:21 「はかなく消えてしまいそうで」

揺れる炎、ショートして割れる電球、色が消える光ファイバー。

はかなく消えるものの象徴が畳み掛けられる。

2:26 「いつからかこの世界迷い込んだ 僕たちは」 

一気に流れる7色の色彩、巻き戻される割れた窓。

2:28 横山:緑、青、紫 青の上にひび割れながら広がる赤

2:48 錦戸:黄、緑、紫

2:48 大倉:緑、紫、赤 広がる黃

3:55 ※部屋上部の窓が割れ、光が差し込むがそれに目を伏せる7人

最後光が差し込んでもそれに対して目を伏せる7人が、曲のテーマの 「間違いを繰り返しながら "もがき生きる" ことを描き出し」ているようで刺さります。

「永遠に出られない」んじゃなくて、「出ない」のかもしれません。

追い求める理想に、まだ"僕たち"は届いていないから。

 

音楽が伝わって血液になる 水の存在③ MV編

MVの中でもキーになる水。ゆっくり流れたり、思い切り飛び散ったり、感情の動きとよく調和しています。

 

・MVでの水に関連する演出

飛び散る破片の間に見える水

ステージの背後にある水だけが入った5つの水槽

7人の顔が染め上がる色

花についた水滴、滴る油

ハァ、丸山さんがつく吐息の水蒸気

7人の前に流れ出る色

合間に挟まる波紋と流れる水

安田さんの涙

 

しかしまだしっくりこないのが、水だけが入った水槽の意味…

5つしか水槽がないんです。2つ、水槽がない台があるんです。

なにか意味があるのでしょうか…演出も裏話が聞きたい。

 

 

5)ダンス:迷い込み溺れる Black of nightのラビリンス

Black of night、エイタメでパフォーマンスを見てからずっと不思議だったことがありました。

「永遠に出られない 暗闇のラビリンス」の表現が、どうして体の前を両手で波打ちなぞるような振りになったのか?

個人的に"ラビリンス"って外側から内側に迷い込んで最後出られなくなるイメージ(①)だったので、回ったり円を描くジェスチャーじゃないことに少し違和感があったんです。

でもこれまで見てきた水の表現と、「溺れてく 海深く 引きもどせない」の歌詞と合わせてもう一度振りつけを見ると、Black of Nightでの"ラビリンス"は溺れもがき沈んでいくイメージ(②)なんだという解釈に行き着きました。

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②にすごく納得しまして。

普通の平面的な①型"ラビリンス"だと、その場から動かなければ状況が変わることはない。好転しないけど悪化もしないように、一見見えます。

ただ現実はしっかりと時間が"流れて"いて、なにもしなければ溺れ沈んでいく。それをはっきりとより絶望的に表現できるのが②型"ラビリンス"。

それが振りに出ていて、右目、左目と視界が閉ざされて溺れながら落ちていくのかもしれないなと感じました。Black of night全体を通して水に関連したイメージに統一されているからこそのイメージと振りなのかな、と。

残りはMVであまり見えないので、関ジャムの中でじっくり解説を聞きたいと思います。

(定点カメラのダンスMV出してくれないかな、KPOPの練習動画のようなやつ…)

 

 

6)解釈:特別でありたいと、"わたし"を探して溺れもがく"僕たち"の歌

最後に、以上をすべて踏まえた上での個人的解釈です。

Black of nightは私にとって、「特別でありたいと、"わたし"を探して溺れもがく"僕たち"の歌」。

 

誰もが"私はわたし"という自己肯定と同時に、"誰かにとって特別な存在でありたい"と思い、行動していると思うんです。いわゆる、"承認欲求"とか"自己顕示欲"。仕事でも、恋愛でも、友人関係でも。

ありのままの私を好きになってほしい。でもあの子のああいうところが好感を持たれて評価される。私もそうなりたい。求められる私になりたい。努力した、でも、うまくいかない。間違っていた?しかしありのままの私はどこかへいってしまった、もう戻れない。

それが永遠に出られない暗闇のラビリンス。厨二感ある

 

歌詞に沿って書いてみます。

ここでいう"わたし"は、歌詞に登場しない聴き手自身です。

 

追いかけても叫んでも振り向かない カラダに巻きつく罪のトゲ
もう何も感じない さめない夢の中で笑う君はまるで悪魔だ

周囲の望む自分になろうと "君"=憧れてきた人々になろうと身を固めてきたけれど

結局自分ではなくなってしまう 誰にも振り向いてもらえない偽物の"僕たち"

喉が乾く誘う花の中へ迷い込む ずっと繰り返す mistakes

一体ここはどこなんだろう? どこまで来たんだろう?

それでも誘われるまま次へ次へ 間違いと気づかぬまま もう戻れない

ただひとり 立ち止まると かなたへ 消えてしまう

ここでやめたらこれまで築きあげた"わたし"がいなくなってしまう恐怖

Black of night
謎に包まれた この物語 だれが解くことが出来るのだろう
腕の中でもがく姿は 今にもこぼれ落ちそうで

Black of night
いつからか元の世界見失った 僕たちは
永遠に出られない 暗闇のラビリンス

だれが解くことが出来るのだろう→裏返すと、誰にも解けない

ふと我にかえって自分を見つめると 崩れそうな滑稽さ

でもそれは誰だって同じ "僕たち"全員が追い求める"わたし"に溺れている

溺れていく 海深く 引きもどせない ココロを蝕む君の影
もう何もいらない 止まない雨の中で泣いてる君はまるで少女だ

君に蝕まれる"わたし"のココロ もう"わたし"はいらないと開き直る

"少女"はけがれがないことの象徴 ありのままだった昔の"わたし"

とりつかれてけがれた花の中で壊れてく ずっと止まらない mistakes
一体ここはどこなんだろう? どこまで続くんだろう?
行き着く先は何もないのか

今の自分が間違っているかもしれないことに気づいても、

他の方法があるかもしれなくても、でも、止められない

まとわりつく虚無感 "わたし"がいない感覚

ただひとり 立ち止まると あなたに 溶けてしまう

憧れた、羨ましかった、恨めしかった、"あなた"みたいになりたかった

なりたかったたくさんの"あなた" たったひとりの"わたし"

ここで立ち止まると 最後は"あなた"に溶けて "わたし"が消える

Black of night
謎に包まれた この物語 だれが解くことが出来るのだろう
胸の中で微笑む姿 はかなく消えてしまいそうで
Black of night
いつからかこの世界迷い込んだ 僕たちは
永遠に出られない 暗闇のラビリンス

ふと我にかえって自分を見つめると 微笑んで幸せそうに消えていく

元の世界に帰れないだけでなく とんでもない世界に迷い込んでしまったことに気づく

でもそれは誰も同じ "僕たち"全員が追い求める"わたし"に溺れている

 

以上です。

厨二感とちゃかして書きましたが、私にも覚えがある気持ち・感覚です。

Black of nightを聴いていて、それを突きつけられたようで、やさしくココロをえぐられました。

 

 

7)最後に:お礼とTODO

長々お付き合いくださいましてありがとうございました。

書くために聴いて、見て、読んでいる中でどんどんのめり込んでいき…

当初「Black of night感想」だったブログのタイトルが、書き終わったときには「ずっと繰り返す、ずっと止まらない "Black of night" の世界」に変わっていました。

この記事を読んでくれた方が、もっと曲を聴いたりMVを見たいと思ってくれたらそんなに嬉しいことはありません。

 

こんな曲を作ってくださったアーティスト安田さんに、心からの尊敬と感謝と愛を!

生まれてきてくれて、安田章大さんでいてくれて、本当にありがとう。

 

さて、ジャムまで残すところあと少し。

一緒に番組楽しみましょう。

 

読んでくださった方に、もっとBlack of nightを楽しむためのTODOを贈って終わります。

・イヤホンで立体的な音を楽しむ

・MVとダンスを見て自分なりに解釈してみる

・テレビジョンカラーズvol.27のインタビューを読む ※絶対買いです、この雑誌…! 

 

安田さん、ずっとずっと、安田さんらしいアーティストでいてください。